『アラビアの夜の種族』を読む。好き嫌いで言えばモロに好みという物語であるからには、丹念にじっくりと。
映画を観ながら飲もうと思って買ってきたワインは700円だった。えらく安いと思ったがデフレの時代である。そもそもが通常、飲むワインといえば1000円そこそこなのだ。チーズを切り、抜こうとしたコルクは妙な質感をもっており、何やら蝋かプラスチックのような印象である。しかし抜かねばならぬ、ギリギリとねじ込んだコルク抜きが、妙な音を立てて途中から折れる。この時点で正常な判断力は失われていたと思われるのだが、そんなことがあるものかと繰り出した次の矢も中途から切断され呆然。力学とは、げに不可解なものであるとの実感もものかは、配偶者がやにわハンマーを持ち出し、瓶口をコルクごと粉砕。女性の行動力の前に、男は常に無力であると肝に銘じなければならない。言っても詮無きことではあるが、破壊された2つのコルク抜きは共に分不相応と言うべき高級品であり、いやはや、安物買いの銭失いとはよく言ったものであると、しみじみワインを呑む。