『ブラディ・サンデー』を観る。ドキュメンタリ風の演出といえばポール=グリーングラスにとっては自家薬籠の手法といえ、それはリアリティテレビ的な演出とは明らかに異なって映画としての文脈を失っていない。1972年、アイルランドにおける血の日曜日事件を描いており、後の『ユナイテッド93』を想起させる筆致が既に完成しているのが判る。大方の予想通り、エンドロールとともに流れるのはU2による『Sunday Bloody Sunday』だが、クレジットが終わった画面の向こう、最後までこの曲を聴かせるあたりにもきちんとした意図が窺えて、全体に完成度が高い。いうまでもなく、歴史上には沢山の血の日曜日事件があるのだが、映画も音楽も、それを念頭に置いた射程をもっている。