『デス・レース』を観る。身も蓋もない題名通りの活劇で、経済の変調とともにモラルの崩壊した社会で囚人が命を賭した自動車レースを行うという、多少、懐かしさの漂う筋書きの近未来もの。リメイクらしいがオリジナルは未見。ジェイソン=ステイサム主演で殴りあいにもカーアクションにも寝惚けたところがなく、全体的にテンションが高いので、何だか納得のいかない瑣末事(何で身代わりの主人公に釈放証明書を渡す必要があるのか、とか)もあまり気にならない。難を言えば最後の10分で、ぬるめの結末には納得感が乏しい。エンドロールの前に、レースシーンはスタントであり良い子は決して真似をしないように、という断り書きが出るのだが、この暴走とドンパチを真似しようという良い子が本当にいるのだとすればアメリカという国の精神的民度の水準線というのは実際、計り知れない。