『ノウイング』を観る。タイトルからして『フォーガットン』みたいな雰囲気を漂わせているのである。設定としては『サイン』を想起させるし、全体としてM・ナイト=マシャラン調の演出だが、監督は『クロウ/飛翔伝説』のアレックス=プロヤスで、突飛な話もそこそこ破綻なくまとめる力量はある。メインのアイディアに関しては、ここ50年に起きた惨事はその程度かよ、と突っ込みたくなるところを手堅く躱している印象で、一方こちらも相応に年期を積んでいるので、結末に至っても開いた口がふさがらなくなるようなことはない。とはいえ、やっぱり『フォーガットン』を思い出していたのである。スケールとしてはこちらの方が大きいし、楽しめるにして。
航空機の事故シーンが山場のひとつだが、こちらは『パッセンジャーズ』にも似たようなシーンがあって、どうやら飛行機の墜落現場が近年の社会的トラウマであるのを見越した上で、機会あればその瘡蓋に手をかけようというのがハリウッドの発想となっている。実に悪趣味。