多様性

生物の生存戦略が多様性にあるとすれば、資本の原理はあらゆる多様性を飲み込んで統一の尺度に止揚する単一性の窮みであろう。グローバリゼーションによる価値観の一様化と都市化が、結果として出生率の低下を招く要因として機能するというのは半ば実証済みの事実だけに説得力がある。カネというゲームのルールは効率的な資源の配分を推し進め、結果として大いなる隆盛を実現したが、同じルールが自己目的化という特定進化の隘路に入り込むことによって種の衰退をもたらすというロジックには必然性を感じざるを得ないからには。

人口予測

かつて仕事でメガトレンドの予測を整理していたときは、予測可能な未来として人口動態の前提を議論の出発点にしていたものだけれど、Wiredの記事で人口推計に異議を唱える論陣を張った『Empty Planet』の記事を読んで早速、iBooksでこれを買い求める。実に不勉強ながら人口増加予測に異議を唱える人口学者は多いらしいけれど、人口予測がある種のドクサであるとすれば多くのパラダイムが変動を要求されることになるはずで、そのインパクトは甚大というべきだろう。面白い。

下りの船

『ザ・タウン』は大好きな映画で、原作となった『強盗こそ、われらが宿命』は読んだことがないけれど、ラストのフレーズは映像をともなってこそ心に残る。

I’ll see you again, this side or the other.

日進月歩

故あってPower BIを弄っているのだけれど、少し見ないうちにかなり使い勝手の良いツールになっていてちょっと驚く。もちろん基本的な機能はそのままなのだけれど、ツールとして行き届いている印象で、聞けばMicrosoft自身がユーザーでもある以上はユーザー体験の向上にも力が入るというものであろう。BIツールは数多あれど、この開発力に抗することができるベンダーはないのではあるまいか。

Chrome

MacのブラウザはSafariを使っているし、WindowsはなんとなくEdgeだったのだけれど、会社で使っているソフトのサポートページにログインできない症状があって、やむなくChromeを導入する。実質的にインターネット標準という話である。これまで頑なに利用してこなかったことには今さらという気分もあって、ユーザー体験にもさほどの違いはなかろうという読みだったのだけれど、さすがにGoogle様が膨大なリソースを注いでいるだけあってそれこそ今さらながら、やはりひと味ちがう。あえなく宗旨替えしてWindowsのブラウザはChromeをデフォルトにする。そういえば以前からGoogle日本語入力だって使っているのである。

パシフィック・リム/アップライジング

『パシフィック・リム/アップライジング』を観る。ギレルモ=デル・トロが監督を降板した時点でどういう構想を持っていたのかは知らないが、趣味そのものという雰囲気のあった前作から、本作はあからさまに中国市場を意識した作りとなった印象で、ストーリーとキャスティングはおろか、キラキラとしたCGの見栄えまで『トランスフォーマー』の近作を想起させて、この換骨奪胎は結果として既視感を生んだという点であまりにも商業主義が過ぎるのではあるまいか。
新田真剣佑は『TOKYOドリフト』の北川景子のような扱いで、注意深く観ていないと見逃してしまう。

非常事態

横紙破りを押し通すためだけに、アメリカ合衆国大統領が非常事態を宣言しようとは、ただそのことのみが非常事態といえる状況ではあるまいか。