帰りが遅くなって観ることができなかった『なつぞら』をまとめて視聴。アニメの名作を想起させるシーンを多用して、日本アニメの原風景を演出しようという困難な仕事に挑んでいることが察せられて、その心意気だけでも好きな部類の朝ドラになるので今クールも楽しんでいる。
Month: April 2019
民主主義
国民投票でEUからの離脱を選択した英国で、その民意の負託を受けて困難な離脱交渉を進めることになったメイ首相は離脱派と反離脱派の双方から叩かれているけれど、もともとはEU残留に投票したのである。沖縄の住民投票が全く無視されてしまう国の感覚ではよくわからないことであろうけれど、投票の結果というのはそれほどに重いというのが成熟した国の常識であって欲しいとは思う。とはいえ、このたびの選挙結果をみると多数派はいよいよ当方には理解し難い方向に振れており、在日日本人としてこうした人たちとは一線を画していきたい。
ザ・リング/リバース
『ザ・リング/リバース』を観る。鈴木光司の原作をもとにして、もう20年も数多のリング映画が作られてきたわけだけれど、ハリウッド版の3作目という本作はさすがにB級っぽい感じは否めなくて、まず予備知識がなければ意味不明であるに違いない。超常現象に違和感のない登場人物ばかりなので話の進みは速いのだけれど展開はイマイチで、秘密裏に行われている社会実験という目を惹くイメージがあるのにその部分はまったく膨らまないので、ちょっとがっかりしてしまう。そういう点では冒頭の旅客機のシーンもトレイラー用に準備したような一幕で、特にどこにも繋がっていないわけである。原点回帰の雰囲気も少し漂っているだけに残念といえば残念で、急に猟奇ものっぽくなるのも何がしたいのかよくわからない。
シェイプ・オブ・ウォーター
『シェイプ・オブ・ウォーター』を観る。マイケル=シャノンの狂気が昂じていく映画というのはいくつか観ているけれど、どれもしんどい。壊死していく二本の指という設定はとりわけ強烈で、どんな悪人にも弱さはあるにして、この指はいわば人間性の象徴として腐っていってしまうので、悪人には改心の機会も与えられず、狂人化したマイケル=シャノンの圧は大きい。
緑を基調とした画面はさすがギレルモ=デル・トロの作り込みで、眺めているだけで十分楽しい。M=ナイト・シャラマンばりにきれいな下げがついて、人魚姫の物語も回収していく構造もかなり好みで堪能したことである。
探偵はBARにいる3
『探偵はBARにいる3』を観る。古沢良太の脚本と盤石のレギュラーキャストによる3作目の客演は北川景子で、もはや定型句のようにストーリーの基本は固まっているので目新しさはまったくないにして、定番には定番のよさがあるので飽きない。東直己の『ススキノ探偵』シリーズを原作としているというには独自の世界に過ぎると思うけれど、大泉洋と松田龍平を楽しむことができるのだから贅沢な映画なのである。
ジョーカー
ヒース=レジャーのジョーカーが映画史に残るキャラクターであることはいうまでもないにして、ホアキン=フェニックスがその向こうを張って『ジョーカー』の主演をしようというのだから、11月の公開を前に今から期待しかない。しかもバットマンが登場しない単独作だというのである。マーベルの世界の拡張にもいささか食傷気味というのは当方だけの感想ではないと思うのだけれど、一方のDCが単品にも拘ろうというのは正しい方向だと思う。
亡国の輩
恥知らずにも総理と副総理に忖度して露骨な利益誘導に加担したと公言した副大臣が、発言を取り消して更迭はされなかったことで、またひとつタガが外れ、憲政と法治の生体反応は戻ってくるその気配すらない、一向に。NHKで録音の音声が流されたことに意外な驚きがあるくらい報道も死にかけているにして、こういう発言が咎められないとすれば、いったい何なら罷免に値するというのか。これを恥じない内閣だというのだから、問題の副大臣は単に声の大きな正直者というわけで、今さら驚かないとは言いたくはないが、 この内閣の腐敗には底打ちの気配すらないではないか。