DESTINY 鎌倉ものがたり

『DESTINY 鎌倉ものがたり』を観る。西岸良平の原作は未読。怪異と日常が同居している不思議な鎌倉を舞台に、堺雅人演じる作家が殺人事件を解決したり、高畑充希の妻が怪異に誑かされたりする。何しろ原作のコミックスは30巻を超えているらしいから分厚い設定があるのだろうけど、129分ではいくつかのエピソードを並べるのが精一杯というところで、いかにも山崎貴といったCGも含め、これぞ邦画という感じ。

中国は国家をあげ青島を世界一の映画基地にしようとして10年の計でハリウッドを凌ぐ撮影所を建設しており、Netflixで配信の始まった『流転の地球』はその嚆矢となる作品ということだけど、映画技術では米国に15年遅れているという冷徹な自己認識をもとにした物量の投下戦略には凄みを感じざるをえない。一方、本邦がその路線を諦めたのは20年も前の話で、言ってしまえばその当時の雰囲気から変わっていないので、彼我の差は果てしなく大きい。

アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を観る。ようやくここまで辿り着いたという感慨があって、もちろん『エンドゲーム』を観ずにはおられないヒキではあるけれど、マーベルファンという自覚もないので劇場に駆けつけるかを迷っている。

本編は案外シンプルな話で、登場人物の多さが苦にならないし、アスガルドの全滅から入るドラマチックな展開もいい。スター・ロードの一派が結構、活躍しているので、MCUにおけるこの邂逅がいちばんの収穫。

蛇のひと

『蛇のひと』を観る。とある商社の部長の自殺と課長の失踪の謎を追うという事件もの風の開幕から、やがて義太夫節の師匠一家断絶の経緯に行き当たって伝奇サスペンスに転調し、結局はその謎が自身にも降りかかってくる結末まで、永作博美がぐいぐい話を引っ張って不在の西島秀俊がそれに応えるという展開でなかなか見応えがある。一時期、流行った隣人ホラーとしても秀逸な部類に入るのではあるまいか。何しろ永作博美がよくて、当て書きしたとしか思えないキャラ立ちなので思わず見入ったことである。