ハーフ・オブ・イット

『ハーフ・オブ・イット』を観る。Netflixのオリジナル映画の隆盛には目を瞠るものがあるが、中国系の高校生を主人公としたこの物語もハリウッドでは製作されそうにない企画で、作品そのものが素晴らしいだけにNetflixもいい仕事をしているという印象が一層、強い。

アメリカの田舎町を舞台に、文化の交点にいてしかし未だ何者でもない主人公が懸命に言葉を探し手探りで自身の物語を構築していくストーリーは、細部が互いに呼応する端正なつくりでアリス=ウー監督による脚本の手柄は大きい。言葉が人を動かし、本や映画が人生そのものを形作っていく話が美しくないはずもなく、教養的なプロセスは心地よい。