『血を吸う薔薇』を観る。1974年の東宝映画。和製ハマー・フィルムといわれる山本迪夫の演出は日本の土俗を絡めつつゴシック怪奇映画の記号を拾っていて、もちろん古臭くはあるしチープなのだけれど、なかなか面白い。岸田森が冒頭から怪しい謎の学長を演じ、黒沢年男と田中邦衛が女子学生失踪の謎を追う役回り。タイトルからしてネタを割ってるし、吸血鬼ものと紹介される以上はそういう話なのだが、未消化の舶来趣味と骨絡みのセクシズムが窺われて独特の雰囲気を醸している。ここから半世紀は経っていないのだから、随分と変わった景色もあるのだ。