『おかえりモネ』もあとわずか。主人公の百音は後景化して、登場人物たちのいろいろに決着をつけようという展開が続いている。陸海空、大地と水と大気の循環をモチーフにしながら、ひともまた変わっていくということを肯定的に描く100話以上の積み重ねの果て、朝ドラ枠で浅野忠信に映画みたいな演出をあてるというプレイスメントのギャップが物語の終盤を盛り上げる。『かもめはかもめ』の歌詞と小道具としての電話の使い方は、ハイコンテキストな伏線とその回収といえ、繊細な話の運びだが、わかる人にとってのカタルシスは大きいであろう。いわゆる朝ドラらしくない脚本だが好きである。
この日は「すべてが整うと雨が降る」というサヤカさんのセリフがふたたび置かれ、ものごとに文脈を見出すのは人だけであるということをリマインドする。徹頭徹尾、イベントではなく、関係性によって紡がれる物語であって、そのことに自覚的であるのが好ましい。