オリンピック関係者どころか選手の感染も次々伝えられている状況で、組織委員会はその内容を詳らかにせず、しかし海外メディアは忖度なくそれを報道するので、期せずして本邦のメディアの体たらくを明らかにする事態となっている。ここで辞任に追い込まれた小山田の問題も「いじめ」と言って済ますなら、その凄惨さを伝えない。顰蹙を買ったIOC会長の歓迎会にしたところで、辞めたはずの森が出てきてスピーチをしたというから、そもそも責任をとったことになっていない点を指摘しなければ、報道は仕事をしていないと言われても仕方ないのではないか。
それにしてもこのオリンピックは、なんというオリンピックなのか。この上、灼熱の気候が到来し、あらかじめ予想されたハードルを全て薙ぎ倒しゴールしてなお、大成功を叫ぶ異様な結末が目に浮かぶ。
日本のCOVID-19新規感染は都市部で前週に比較して150%から200%近い伸びという指数関数的な増加局面にある。アメリカではマスク義務の解除が早すぎたと専門家が語り、一方、イギリスはワクチンによる死亡者の減少をもって感染対策の撤廃を強行し、しかしそのジョンソン首相はコロナ感染した保健相の濃厚接触者として自主隔離中という混乱した状況にある。