「僕の姉ちゃん」

『僕の姉ちゃん』を観る。益田ミリのマンガをもとにしたドラマで、黒木華が名言の多過ぎる姉ちゃんにピタリと嵌って、表出は対極にありながら小林聡美と似た空気をまとい、2020年代の日常系ジャンルでは既に挙げるべき傑作となっている。海岸にほど近い鵠沼の一軒家でのマガジンハウス的生活は、このようにして新たな世代に引き継がれたのである。

テレビ東京系列での地上波放送は来年ということなのだが、Amazonプライム・ビデオでは全10話を先行配信という形態なので、うかうかすると一気に観てしまう面白さで、配信でありながらオープニングテーマもエンディングも音楽をしみじみ聴きたくなる1話25分の起伏が好ましい。原作のマンガの情報量はミニマルなので、画面の一切はドラマとしての構築なのだが、黒木華のレトロな柄のワンピースひとつ素晴らしく、そんなキャラクターから「会社にいけ好かない女がいる」という先触れのセリフが出てくるのである。