『ゴジラvsコング』を観る。レジェンダリー・ピクチャーズが『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』と『キングコング 髑髏島の巨神』から直系の続編として作った映画が、どうして『パシフィック・リム』と選ぶところのない話にならなければならないのかが、まず不思議である。これは世界観の無駄遣いというものではなかろうか。小栗旬も『TOKYO DRIFT』の北川景子のような扱いで、おそらくは編集段階で出演シーンの大幅なカットがされており、これでは芹沢博士も浮かばれない。
アダム=ウィンガード監督はホラーとサスペンスの名手ではあるけれど、怪獣愛の持ち合わせは疑わしく『ゴジラ』の前二作からすると、まずそこが大きく異なっているのではないかと思うのである。思い入れもないのに地球空洞説を扱うのは荷が勝ちすぎるというものだし、モンスター・ヴァースがこの路線で行くなら、かつての東宝ゴジラシリーズのような変質を目にすることになるだろう。
見どころは海上輸送中のバトルで、このイメージはちょっといいのだけれど、トレイラーに使われてしまっているので驚きはなく、一方でクライマックスの香港はその既視感に驚いたものである。ところで、この作品の興行は良かったようなのだけれど、えー、まじか。