インビジブル

『インビジブル』を観る。全体としてはかなり陳腐な印象で、本邦のテレビドラマなりにキビシイ感じなのだが、大野いとが出演していることだけは評価できる。柴咲コウも悪くないのだが、たとえば『MIU404』とこのドラマの間に横たわる越えがたい溝のことを考える。ううむ。

この日、ウクライナの攻撃により沈没した黒海艦隊の旗艦モスクワに聖遺物がのせられていて、もろとも海底へと沈んだというニュースを知る。船乗りが縁起を担ぐのは万国共通の傾向として、ロシア海軍の精神性は19世紀あたりから変わることなく冷戦を越えて今日に至るという事実には、人類の進歩という概念を懐疑でくるむ説得力があって、この戦争も長くなりそうだと思わざるを得ない。

ロシア産の木材の供給停止により、もともとウッドショックと呼ばれるほど高騰していた木材相場は追い討ちにあっているという話だけれど、より影響の大きいエネルギー価格の高騰は夏場を過ぎたあたりで臨界に向かうのではないだろうか。どう考えても、この先に待っているのはスタグフレーションや大不況のシナリオなのだが、その準備があるのはもちろん稀で、ほとんど自由落下ということになるのではなかろうか。