読んでいた本にレニングラード包囲戦が言及されていたので、久しぶりに『卵をめぐる祖父の戦争』が読みたくなってこれを買い求める。以前読んだ時はアマンダ=ピートの夫で脚本家というのが著者のデイヴィット=ベニオフのステータスだった訳だが、2010年代は『ゲーム・オブ・スローンズ』の共同プロデューサーにまで上り詰めたらしい。へぇ。Netflixで『三体』を作るというのもこの人である。何しろ父親はかつてのゴールドマンサックスの社長、セールスフォースのマーク=ベニオフが親戚だというから、もともとのセレブ体質はあるとして、小説を読めばこれが面白いので創作の才能があるのは確かなのである。
導入の数ページ、言及されるミュータントのスーパーヒーローものの脚本はどうやら『ウルヴァリン』だし、女優の彼女についての会話もあるので、ひょっとしたら本当のやり取りかと思わせて、堂々とフィクションであることも宣言する語り口のうまさには唸る。以前も巻を措く能わずとなった記憶があるけれど、とにかく読ませる。