干魃

この日、気象庁の長期予報では11月ごろまで例年に比べて高温となる予想が出される。欧州委員会はヨーロッパが過去500年で最悪の旱魃に直面しており、農作物の収穫はもちろん、船舶輸送や水力発電が影響を受けると警告した。ウクライナでの戦争で、天然ガスの供給が制約され、農業生産も影響を受けている状況での気候変動である。この冬に向けてエネルギーの配給制が必要になるという心配があったが、旱魃による水力発電量の低下はそれに追い討ちをかけることになる。

中国でも長江水系での旱魃の影響で、四川省に始まった停電が流域の経済圏全体に拡大する見通しとなっていて、こちらも農産物だけでなく、蝟集する工場や上海を賄う水力発電が影響を受けることになる。ゼロコロナ政策による散発的なロックダウンと停電によって、グローバルサプライチェーンの寸断はさらに続くだろう。

従来の心配に加え、気候変動が構造的な歪みを拡大する傍証が積み上がることで、インフレ期待は否応なく亢進し、これを抑え込むために金融政策は引き締め方向に向かわざるを得ない。ドルにおいてもタカ派政策は継続されるだろうから、景気後退の谷はいよいよ深くなる。