疫神記

パンデミックを経験している最中にどうかとは思うのだけれど、遡ると『復活の日』くらいからこっち、パンデミック小説が好きなので近刊の『疫神記』を読み始めている。何しろ上下分冊で1,500ページぐらいある大冊なので、いつ読み終わることになるのかはわからない。いちいち長いのは少しキングっぽいのだけれど、書きぶりは読み易いのでぐいぐいすすむ。パンデミックものといっても事前情報をほぼ入れていないので、このままパラノーマルな方に向かってもおかしくない展開。恐るべき吸虫ロイコクロリディウムのことを思い出しながら読んでいる。原著の初出は2019年とかなので、COVID-19以前の幸せなパンデミック小説なのである。

この日、国会で補正予算が成立する。あわせ、1億総投資などという掛け声を聞くようになるが、僅かにあった平均賃金上昇による再分配の議論を飛ばして今さら総動員のキャッチフレーズとは。分配側は円安メリットと古臭いトリクルダウン論法で見て見ぬふりということだろうが、輸送を含む全面的な物価の上昇と急速な景気後退が全てを吹き飛ばすだろう。格差による分断のさらに進んだ素寒貧の1億総ギャンブラー国家というのが目指す社会像ということになる。