窓際のスパイ #3

『カムカムエヴリバディ』は112回にして最終回。ささやかなつながりの物語であるからには、さまざまな伏線を丹念に回収して形よく収めるエンディングとなっている。岡山の雉真だけでなく、桃太郎というあからさまな名前の登場人物をもちだしてきたからには、どのようなエピソードを添えるのかという興味で、かねて符号を探していたのだけれど、最後に桃太郎が剣(ケン、犬)とCurious George(猿)を連れ、キジ真(雉)のユニフォームを着て甲子園に出場したとあって、なるほどと感心したことである。それに続くのは「めでたし、めでたし」以外でありえず、市井のひとたちの物語であった本作には相応しい。

『窓際のスパイ』の第3話を観る。いよいよゲイリー=オールドマンが演じるジャクソン=ラムが動き出す。クリスティン=スコット・トーマスのダイアナ=タヴァナーと、運河を眺めながら交わす会話は前半のクライマックスであろう。その水面は死の象徴であり、ロンドンルールでプレイをするタヴァナーの脇の甘さに、モスクワルールで生きてきたラムが警告を発する会話は奥行きがあって、脚本がなかなかよく出来ているのである。面白い。