『荒れ野』を観る。19世紀のスペイン。人里離れた荒野の一軒家に隠れ棲むように暮らす親子三人は厳しい生活を送っていたが、ある日、父親が家を出て母子が残される。困窮を極める日々を送るうち父の馬だけが帰還して、優しかった母の様子はいよいよおかしくなる。
19世紀から20世紀初頭のスペインを扱った映画は、生きるのが辛いという状況を扱うと一流の説得力があって、観る方も辛いという印象ではあるのだけれど、絵画的に作り込まれた画面がどの場面でも中世画のように美しいので、そのあたりが救いになっている。ゴヤ的な黒が全体を支配していて、母のドレスだけがアクセントのように深い赤であるのもその印象を強くする。暗い予感しかない物語ではあるけれど、タイトルからして『Wasteland』なのである。
大雪警報が東京にも発令されたこの日、全国の新規感染者は4,000人を超え、対数軸のグラフでさえ異常な立ち上がりを見せる状況となる。今すぐ全国的な行動抑制が必要であろう。