ユヴァル=ノア・ハラリがウクライナでの侵略戦争について述べた記事を読む。世界経済が物質から知識を基盤とするものに変化したことを根拠として、他国を征服することで得られる採算性は低下しているという論旨はハラリ一流のもので、人類史的には共同体の資源配分が物理的な戦争以外の項目に行われることで人類そのものの変化を促していくというヴィジョンは心強い。それもこれも弱肉強食を選択とみて、これを許容しないという点にかかってくるという主張もその通り。
一方、本邦ではこの機に防衛費を2倍にしようとする主張があるようだけれど、その価値観の台頭は結局のところ避けるべき退行であり、緊張関係を口実にした旧弊な資源配分はこの国の衰微を加速するだろう。