『鎌倉殿の13人』の第1回を観る。正味な話、18時からBSプライムの放送を観た上で、20時からの本放送も再見したのである。面白い。冒頭、馬での逃避行は『真田丸』の初回に寄せたイメージで、期待は否応なく高まる。どこまで面白い話なのだと思っていれば、川辺の不穏からの突然の暗転がまたうまい。愉快なやりとりと表裏になった地方豪族の葛藤や権謀術数の描き方が、相変わらずいいのだけれど、坂東彌十郎と片岡愛之助のチャーミングさがこれを一層、引き立てる。「お前の太刀打ちできる相手ではない」というセリフが陳腐に聞こえない坂東彌十郎が何しろ凄い。
そして新垣結衣である。本格的な時代劇は初めてということになるが、小栗旬との一連の会話は他のキャスティングでは成立しないのではなかろうか。際立った存在感は当然として「ばかをおっしゃい」という台詞回しのうまさはどうだ。『真田丸』と『逃げ恥』を生んだ奇跡の2016年の記憶を煮詰めたようなドラマなのである。