Mr. ノーバディ

『Mr. ノーバディ』を観る。平凡な家庭人が実は恐るべき経歴の持ち主という筋書きはアクション映画のやや使い古された定番といえるくらいで、トレイラーにちょっとコミカルで美味しいシーンが使われていたこともあってあまり期待はしていなかったのだけれど、この場合、トレイラーは正しく作られており、本編はその期待値を本格的な格闘という意表をつく領域で越えてくる。脚本のデレク=コルスタッドが『ジョン・ウィック』を書いていると聞けば、まず同じネタではあるのだけれど、自家薬籠中のものであり同じように面白いのである。

質量のあるアクションとオールディーズを要所のBGMに使う演出はテンポよく、カッコいいのでシビれる。主人公を演じるボブ=オデンカークも59歳とは思えない感じに頑張っていて、92分があっという間。新年早々これはアタリだと思うのである。

沖縄で600名を超える新規感染が確認されたこの日、東京でもそれを追うような急増がみられて指数関数的な増加そのままの垂直的な立ち上がりが現出する。この状況を緊張感をもって注視しているはずの政府は、ただ注視しているとして、特に策があるわけではないみたい。各国ではオミクロン株についてのデータが出始めているけれど、感染力の由来さえ定かでないこのウイルスを為すに任せることが得策でないことだけは確かだろう。