『きさらぎ駅』を観る。2000年代初頭、2ちゃんねるで話題となった怪異譚に材をとった2022年の映画。恒松祐里が初めて主演を果たしたというのが、ささやかな話題になっていたと思うのだけれど、新進の女優を主人公に据えたモダンホラーというのは、それだけで立派なジャンルになっているわけである。とはいえ、異世界駅ものには、そもそもストーリーなどあってないようなものだから、ホラーとしてはショッカーに頼りきりで、全体にビジュアルノベルみたいな雰囲気になっている。まぁ、82分の尺に引き伸ばしただけでも偉業ということではなかろうか。
撮影に使われたのは上田電鉄の別所線という話で、思いのほか地元に近いので親近感は湧くのだが、異世界駅というよりは、ただの田舎の駅の雰囲気であるのは間違いない。今どきのものとは思えないCG合成画面は故意に使われたのだろうけれど、チープな印象しか残らないのも残念。