高浜原発4号機で稼働中の原発の緊急停止があったばかりだが、東海第二原発でも冷却水用の海水ポンプが非常停止して非常用電源を喪失した状況となっているという。より深刻なのは、フェイルセイフが機能して機能停止したのは分かっているけれど、何故そうなったのかはわかっていないと伝えられていることで、既にして手に負えない惑星外のオーバーテクノロジーを見よう見まねで運用している地球人のようである。『無知の科学』を引くまでもなく、原理を知らなくても知識の成果を運用することは可能というのが人間のすごいところではあるけれど、福島第一原発から12年経ち、長い休止期間のなかでは細部の知識を継承する機会もなく、複雑な原発運用に不可欠な知識の総体というのはどうやら損なわれている。
このうえ、無理に無理を重ねて実現してきた60年の延長稼働を、さらに延長して運転しようという政治の目論見は、現場の実態を把握していないという点で極めて無責任だが、その無責任を裏打ちしている先々がどうなろうと知ったことではないという考え方は、稼働再開早々にあらゆる原発で運用上の異常な問題が噴出することによって打ち砕かれることになるだろう。ある程度は安全策によって回避されることになるが、シビアアクシデントにつながることになっても、本当におかしくない。