『僕と幽霊が家族になった件』を観る。2023年の台湾映画。死者との婚姻である「冥婚」の風習が残る台湾で、事故で亡くなったゲイの青年マオと結婚することになった警察官が、その死の真相を解き明かし、彼の家族が抱えたわだかまりも解きほぐしていく。アジアで初めて同性婚を法制化した台湾で、しかしゲイに対する偏見を隠さない主人公ウーが相棒となったマオとやがて心を通わせていくあたりが見どころの物語。犬も出てくる。
環境保護に対する思いを強く残して死んだという設定が、父に遺す最後の言葉につながるあたりは秀逸で、よくあるバディものの変形ながら脚本はよく出来ている。この憑きもの落としのくだりは泣ける。許光漢と林柏宏のカップリングも素晴らしい。物語の可能性のなんと奥深いことか。この世界のダイナミズムに、年老いた日本は決して伍していくことはできないだろう。