フィリピンのルソン島南部にあるマヨン火山は標高2,400メートルを超え、一帯がマヨン山国立公園に指定されている大きな山だけれど、11日夜から溶岩流が噴出し、今後の大規模噴火も心配されているという。もともと綺麗な三角錐の山なので、激しい爆発を伴わない噴火というのはプロファイルに合致するという印象だが、19世紀には近隣の町が埋没したこともあるという。
この噴火の推移を見通すことはできないが、大規模な溶岩流が美しい円錐の斜面を流れる夜景の写真を見るに、大文字焼きというのはこうした火山活動を模した追悼儀式なのではないかという意見には深く頷く。その遠景の類似は明らかで何故、大の字なのかという問いにこれほど鮮やかに答える仮説はないのではなかろうか。八岐大蛇が溶岩の流れを示すという寺田寅彦の解釈にも通じる話だと思うのである。