いわゆるタダ券をもらったので、近隣の英国式庭園に出かける。ライフスタイルを売りとするビジネスの先駆けといえる施設だと思うのだけれど、商売として順調という噂は聞いたことがなく、どちらかといえば厳しい状況にありそうという気がする。ガーデンそのものはよく手入れされていて、植生も悪くないと思うのだけれど、あらゆることに値札が付き、それを積極的に推してくるライフスタイルビジネスというのは自縄自縛の罠に落ち込んでいるのではなかろうか。
まず、自然のものである以上、植物には盛りというものがあって常に満開の花を見せてくれるわけではなく、一方でガーデニングの見どころは美しい植生だけにあるわけでもないとして、ここに金銭の尺度を持ち込めば常に同じような効用と明確な対価を求めるのが行動経済学の教える人間のサガというものであって、広く集客がもたらすレピュテーションのリスクは思いのほか大きいに違いない。結局は体験を売りものとするApple Storeが、しかしプライスタグの存在感を慎重に後景化していることをもっと考えるべきだと思うのである。