水は海に向かって流れる

『水は海に向かって流れる』を観る。田島列島の漫画の実写化で、広瀬すずが榊千紗を演じている。まず、この千紗は全然悪くないと思うということを言っておかなければいけないけれど、広瀬すずがあまりにも華やかであるがゆえ、口数が少ないとどこか剣呑な感じが漂うので、内に溜め込んだ怒りは周囲に放射して見えるようなところがある。原作の筆致はもう少し茫漠としたところがあったと思うのである。

物語はかなり忠実に原作をなぞり、リスペクトを感じる。脚本は大島里美。123分の尺なので、前半は設定が渋滞気味に感じるくらい密度が濃いけれど、直達を演じる大西利空もなかなか感じがいいので、ずいぶん楽しんだのである。いや、悪くない。