決戦は日曜日

『決戦は日曜日』を観る。窪田正孝が代議士の秘書、宮沢りえが病気の父親の代わりに国政選挙に担ぎ出された娘を演じる。昔ながらの事務所体制に、エキセントリックな感じで登場する宮沢りえの存在感が面白くて、その個性で引っ張るコメディかと思いきや、個人の意図など超えて構築された利権構造が顔を覗かせる。欲得の異常な関係に最適化された陣営のそれぞれの役割がきっちり描かれているあたりが見どころで、デフォルメされているとしてもほとんど現実の姿に近いのではなかろうか。

こんなまずいことになっているのに、よく平気でいられるよね。何もしないで

窪田正孝と宮沢りえが、真人間となって落選活動を開始する後半、維新みたいな選挙を始めて炎上し、コアな層に気に入られてしまう展開は面白いのだが、もちろんすぐ真顔にならざるを得ない訳である。低い投票率なら組織票でいけるという、小市慢太郎演じるベテラン秘書濱口の総括は、どうすればよいかを示唆はしているのだが。

風刺の効いたウェルメイドなコメディである。窪田正孝の映画にハズレなしという経験則は維持されていて、捉えどころのない感じのキャラクターをよく演じている。