『死神永生』を読んでいるときから、『地球往事』三部作を読み直さなければならないと考えてはいたのだけれど、そのボリュームの前に果たせずいるうち『三体0 球状閃電』を読む。『三体』の前日譚という触れ込みで葉文潔の娘、楊冬の恋人 丁儀が登場してボールライトニング現象の謎を解明する。
もちろん、続く『三体』ほどのスケールの大きさはないとして、物理理論そのものを題材とする劉慈欣の語り口は後と同じくスリリングで非常に面白い。三部作とあまり関係ない話のように見えて、観測者問題をこのように扱うだけで三体世界そのものを現出する作家の力量は並外れている。