自由の命運

アセモグルとロビンソンの『自由の命運』を読んでいる。経済発展が民主主義と自由をもたらすわけではないという当たり前の話を、しかし腹落ちさせるのは案外、難しいと思うのだけれど、こうした単純化され過ぎた近代化の理解を念を入れて打ち壊してく。古代から現代までの実例をひきつつ、しかしシステムとしての本質を抽象化して理解させてくれるので、読者は必然的に自国の状況に照らして考えることになる。その点において、非常に有益な思考をもたらす好著であるに違いない。

特に安倍政権以降の日本いついて言えば、構造としてはシュワルナゼのグルジアの例にすっかり当てはまるということではなかろうか。腐敗構造の維持のために全てを腐らせるという政治は案外、ありきたりのもので、駄目になる様子もよく似ている。