Netflixに『デイ・アフター・トゥモロー』が来ていて、もう十回以上、観ているとは思うのだけれど、HDの画質がいいので結構、真剣に鑑賞してしまう。これがちょうど20年前の映画で、大西洋南北熱塩循環の異変がカタストロフをもたらすという予言的な題材と前半の内容だけで傑作というべきであろう。いかにもローランド=エメリッヒというべき後半には、ほぼ観るべき点はないとして。
そもそも現在は間氷期にあり、農耕以降の温暖化が地球の寒冷化のサイクルを例外的に遅らせているというのは一定の説得力がある話で、これがシステムの恒常性を破壊する閾値を超えることによって、ほとんど一瞬にして氷期への相転移が起きるというのは案外、真実味のある設定だと思うのである。だとすれば以降、人類が心配しなければならないのは際限のない寒冷化で、嵐が去って一件落着となった本編には語られていない悲劇的な結末がある。