Netflixで『ブラザーズ・サン』を観る。主にロスを舞台として、しかし『孫家兄弟』というタイトルがしっくりスタイルの8話構成で、予想以上に面白いのでつい観てしまう。ミシェル=ヨーが出ているけれど、チャールズとブルースのサン兄弟が楽しい。アクションと、ときどき表出する肉体損壊のグロテスクさがアクセントになっているのだけれど、このあたりには台湾映画の雰囲気があって、拷問の場面は心底恐ろしい。ややや。
世界は政治の季節に向かっている。フランスでは右翼勢力の台頭の流れがいよいよ強まり、振り子のように揺れながら制されてきた勢いが、今度ばかりは振り切れるのではないかと考えられている。グローバル化と平和の経済的帰結として格差を生み、敗者を敗者として留め置く新自由主義的な考え方が必然的に国家をディストピア化して、国民は極端な政策を渇望するようになる。民主主義国家と専制的な国家が経済を原理として別ルートから同じ山を登るということを、興味深く歴史は語ることになるだろう。