『舟を編む』の最終話を観る。時間軸からの予想通り、COVID-19の感染拡大を扱った終盤は、シリーズ全体で周到に組み上げられてきたエピソードを大事に扱い、言葉が生む共感というテーマを前面に展開して、しかし物語はきちんと、きれいに閉じる。パンデミックが扱われる一方で、この世界線では、刊行記念パーティに松本先生が登場するのである。そのバランスの良さと端正なつくりには震える。原作の小説は現代的な意図によって確実にアップグレードされており、まず、脚本の蛭田直美の仕事は大したものだと思うのである。それを受けた演出のキレも素晴らしい。この続きをもう観ることができないということだけが残念だが、とにかくこのリメイクは素晴らしかったと思う。