虎に翼

引き続き『虎に翼』を観ている。まだ3週目というところだけれど、家父長制の窮屈さと傲慢さを射程の中心においた脚本は、その意図において明確でわかりやすく、痛快ですらあって面白く、面白いだけでないのがまたいい。そして物語は戦間期から、やがて戦時へと向かうのだから、厳しさが増えていくに違いないのである。

一貫性

『舟を編む』の最終話を観る。時間軸からの予想通り、COVID-19の感染拡大を扱った終盤は、シリーズ全体で周到に組み上げられてきたエピソードを大事に扱い、言葉が生む共感というテーマを前面に展開して、しかし物語はきちんと、きれいに閉じる。パンデミックが扱われる一方で、この世界線では、刊行記念パーティに松本先生が登場するのである。そのバランスの良さと端正なつくりには震える。原作の小説は現代的な意図によって確実にアップグレードされており、まず、脚本の蛭田直美の仕事は大したものだと思うのである。それを受けた演出のキレも素晴らしい。この続きをもう観ることができないということだけが残念だが、とにかくこのリメイクは素晴らしかったと思う。

オッドタクシー

実は『オッドタクシー』のオリジナルシリーズは途中までで止まっていたのである。『RoOT』が同じ事件の変奏ということになっているので、慌ててこれを最後まで観る。なるほど。この奇妙な世界観そのものの話に立ち返っていく結末は悪くない。劇場版アニメというものもあって、一応はテレビシリーズの再構成で作られているのだけれど、最後には蛇足というべきシーンが足されている。

グレイテスト・ヒッツ

『グレイテスト・ヒッツ』を観る。事故で恋人を失い、思い出の曲を聴くと時間を遡行するようになった女性。それが本当に起きていることなのかという疑問を残しながらすすむ物語の語り口が絶妙で、このあたりは監督・脚本のネッド=ベンソンの仕事であるに違いない。時間の往還が、結局は人生の一回性を感じさせる構造そのものが名作『アバウト・タイム』を想起させ、こうしたテーマが好きなのだとあらためて認識した次第。これは傑作であろう。互いに喪失を抱えたルーシー=ボイントンとアジア系のジャスティン=H・ミンのロマンスもすごくいい。

貞子DX

そういえば少し前に『貞子DX』を観たのである。鈴木光司の『リング』は30年以上前の作品だけれど、今回は呪いのビデオテープがインフラと社会状況の変化にどのように適応するかという趣向で、タイトルからしておかしみが漂う。基本的には気軽に観るジャンル映画という感じで、それぞれの花ありてこそ野は楽し。IQ200の天才主人公という安直な設定に和む。

この日、イスラエルが行ったイランへの報復攻撃が報じられる。イラン側が被害は一切なかったとしたことで、この連鎖を断ち切る姿勢を見せていることにはなっているけれど、そもそも直接攻撃を相互に行っているのだから、半ば戦争状態にあるのは間違いない。世界は大規模な戦争の瀬戸際にある。

豊後水道

昨夜、起きた四国での地震はM6.6で、豊後水道一帯を震源とするものとしては56年ぶりに観測された規模だという。中央構造帯に沿って起きる日向灘、豊後水道の地震はどうしても心をざわつかせるところがあるとして、南海トラフ地震との直接的な関係はないというのが見立てで、結局のところ複雑系にあたる地震の因果を予測することは誰にも出来ない。

同じ夜、インドネシアで起きた火山噴火が、大気の振動による津波を起こすことが心配される。こちらも直接に何かを引き起こすというよりは結果の事象だが、地殻の活動を活発化させている何か大きな動きはあるようにも見える。それがプレートテクトニクスというものといえば、身も蓋もないのだが。

震度3

『アンメット』の原作漫画を読んだのだけれど、物語の語り口はテレビドラマのほうが圧倒的に好みで、脚色と演出の工夫にあらためて感心する。

この日の夜、長野県南部を震源域とする震度3の地震が起き、家でその揺れを感じる。このところ、有感地震はまったくなかったので、もちろん驚いたのだけれど、列島周辺が活動の時間帯に入った雰囲気があるので、もっと大きなものが来ても不思議はない。Googleの検索は位置情報を使って今起きた地震の震度を表示するようになっていて、検索結果についてのこまめな改修は大したものである。

そして深夜、四国で震度6弱の大きな地震が起きる。