食糧危機

オレンジ果汁の逼迫で、オレンジジュース製品の販売休止の動きが広がっているというニュースを観る。これは天候の異変による供給不足の話ではあるのだけれど、円安によって採算ベースでの輸入が出来なくなっているということでもあって、単にものがないという話ではなく、食糧自給の低さがもたらす問題のひとつの現れかたであるともいえる。状況が多面的に緊迫化するケースでは、交易条件が国内のカロリー不足をもたらすということも十分に考えられる。

『虎に翼』は予想通り、第一話の冒頭に回帰して、寅子はすくっと立ち上がって新時代の到来を体現する。優三の存在とは、つまり日本国憲法の理念の表出であるという考察が出回っているようだけれど、なるほどと膝を打つ。誰もが何になってもよいと宣言し、その幸せを祈るというのは、つまり憲法のなすところであるはずだ。

怪物の木こり

『怪物の木こり』を観る。冒頭からサイコパスぶりを発揮する亀梨和也というのは、なかなか画になっていてまず、それだけでもみられる感じ。菜々緒のプロファイラーというのも典型的な雰囲気で、何もかもそれっぽいというのが特徴の映画であろう。そうはならんだろうという物語設定ではあるのだけれど、ジャンル映画としてはそれなりの出来。小説が原作らしいのだけれど、うまいこと劇画になっていると思うのである。

この日は深圳から香港に出国して午前中のJALで帰国。移動しかしていないのだけれど、今週の『虎に翼』を木曜日まで視聴して涙する。第1回の冒頭に繋がって、物語は新しい段階にすすむ。

EV

高速道路でパンクしたBMWが何事もなかったかのように走行を続けている場面にお目にかかることなど想像しがたいが、それが現実というのが中国である。他のアジア諸国と大きく異なるのは自国ブランドのEV車がマジョリティを形成しつつあるように見えることで、テスラも混じっているとしてBYDやAITOといった新興メーカーは特に目を惹く。これが政策努力の結果であるというのは、やはり凄いことだと思うのである。この無数の実践がフィードバックされて、EVは独自の進化と市場を形成するに違いない。

白酒のある酒宴三日目。さすがに疲れてきたけれど明日は帰国。

全体最適

中国の生活には自走ロボットが溶け込んでいるのであろうと思う場面も多いけれど、既にしてやや草臥れている感じが否めない。この人たちがよく喋るだけに、その感慨は一層、深まる。

国内移動の飛行機はやや小ぶりのジェット旅客機ということもあり、基本的に混んでいるという話は聞いていた。この日の搭乗便は機内持ち込みの荷物が多すぎて出発することができず、調整のひと騒動があって遅延し、40分遅れて離陸。市街中心部の交通が、あまり変わらぬカオスであるということをみても、全体最適化はほぼ進んでいないイメージで、全要素の生産性向上が進行することによる経済の成長余地はまだまだあるというTFP論が根強いのも頷けるけれど、それが可能であるかはわからない。そのデザインされた秩序の獲得はバイタリティと引き換えに達成される偉業のようにもみえる。

ガチ中華

引き続き-1時間の時間帯にいる。日中の仕事を経て、夜は湖南料理で地元の白酒というタフな宴会。旺盛なホスピタリティの発露として、モダン琵琶の演奏まで堪能できたので得難い経験であるには違いない。

炒飯狙撃手

『炒飯狙撃手』を読んでいる。台湾を舞台とした警察小説であり、ヨーロッパの広域を舞台にしたスリラーアクションでもあって、ちょっと面白味のあるタイトルはこうした意外な組み合わせも連想させ、まず飯が旨そうという美点を際立たせている。退職目前の刑事が追う軍が絡んだ陰謀は、実際の軍艦汚職を題材にしているそうだけど、それ以上に飯のリアリティが全てを納得させていく感じ。面白い。

この日は羽田から北京に飛んで天津に移動。車の警笛が常に聴こえている。

探偵マリコの生涯で一番悲惨な日

『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』を観る。伊藤沙莉が歌舞伎町で店を経営する探偵という設定なのだけど、冒頭から謎の宇宙人が光を発し人体を蒸発させるシュールでサイケデリックな雰囲気。『発狂する唇』か『血を吸う宇宙』かと思ったけれど、それよりはキャラクターに関心を払っている様子はあって、であればこそ中途半端な感じがなくもない。新宿の異世界ぶりは微妙に後景に見える。マリコが活躍するという感じでもない、といような勿体なさがある。2人の監督の手によるいくつかのエピソードから全編が構成されているということだけれど、もしかするとそれに起因する印象かもしれない。

この日は夜移動して羽田空港前泊。