もう終わっちゃうのかと思いつつ『アンメット』の第11話を観る。どうにもならん状況から、感極まる瞬間が幾つも描かれ、手持ちのカメラがその心のうちを映しとる。寄りめの画角がまた、いい感じの雰囲気を醸している。おなかがすいて、ご飯が食べたくなるというドラマは圧倒的に信頼できるという法則にまた、新たな傍証が加わった。何しろ劇中のセリフが、咀嚼とは幸せに向けた運動だというのである。
新型ウイルスによる隔離のエピソードはいささか唐突の感が拭えないけれど、保険証や器の色みたいなやりとりが話に厚みをつける。全ての登場人物に見せ場があるというバランスが大団円の印象を強く残す脚本の出来も見事というべきであろう。間違いなく今クールいちばんのドラマだったと思うのである。