口訳 古事記

町田康の『口訳 古事記』をAudibleで聴いている。町田康の文体とリズムはオーディオブック向きではなかろうかという予感はあったけれど、『古事記』の内容と相俟って、これが無茶苦茶面白い。神代の物語はもともと支離滅裂に聞こえるところがあるけれど、ワレ、ヌシ、ヤツガレで語られるとそのおかしさがやたら際立つ。ナレーターがまたよくて、これは笑える。

出勤

諸般の事情から土曜日が出勤日となることがたまにあって、いつも通り仕事。夜は土地の懇親会で、週末なのに稼働率高め。

この日は晴れたけれど、今年は遅い梅雨入りにもかかわらず、平年並みの梅雨明けが予想されていて、短期に多くの雨が降る傾向となるみたい。先日、市の水防訓練というのがあって、土嚢を作る講習のようなものもあったのだけれど、そうした想定が必要な日常というのもあるのである。

夏至

この日、二十四節気の夏至。太陽は北回帰線の上にあり、北半球では日の出が最も早く、日の入りが最も遅く、いちばん昼の長い日。ここを境に本格的な夏の始まりのはずだけれど、今年は甲信もこの日、梅雨入り。午前中は時おり雨。

コンテンツ

東京都知事選に史上最多の候補者が名乗りを上げ、56人が立候補したということが話題になっている。そもそも選挙ポスターの掲示板は48人の枠を準備していて、それを上回るということなのだけれど、48人もの想定があったということ自体は、都知事選が泡沫候補の晴れの舞台でもあった歴史を踏まえていて、YouTubeやXが愚行を収益に変える仕組みを提供していることが拍車をかけているということだろう。それぞれの花ありて野は楽しと言ってばかりもいられない感じで、とにかくこの臭気は耐え難い。そして悪貨が良貨を駆逐するが如く、選挙そのものが茶番となるとすれば、荒廃は必ず災厄を招くことであろう。

素数ゼミ

そういえば今年はアメリカの中西部で、17年と13年の2周期の素数ゼミが221年ぶりに同期して出現する年であることがかねて言われていたのだけれど、予定通り、既に数千億匹のセミが出現しているというニュースを見たのである。総数は1兆匹にもなろうという話なので、そのスケールをイメージすることも難しいのだけれど、現地で測定された鳴き声は90dBを超える音量で、つまり普通に身を置いていれば難聴の危険があるというほどなのである。ほとんど建国以来という時間軸だが、類似のイベントが他にあったろうか。

この日は晴れ。今週末にかけて梅雨のはしりのような下り坂が予想されているようだけれど、今日のところは実に快適な陽気である。

地域振興

オフサイトの検討会で、かつて大資本の駅前ショッピングモールだった空きビルに市の振興公社が作ったワーキングスペースに出かける。昭和の建物を改装して、それなりに新しいミーティング設備が導入されているのだけれど、会議室が出来たからといって経済の種が撒かれたということにはならないだろうし、広々とした感じも面積を持て余しているようにしか見えない。こんな施設が駅前ごとに出現しているのが地方都市の現実なのである。今さら何か取り返しがつくようなものではないと思うのだけれど、これを維持しなければいけない実際的な理由は何かと考えざるを得ない。

ブラザーズ・サン

Netflixで『ブラザーズ・サン』を観る。主にロスを舞台として、しかし『孫家兄弟』というタイトルがしっくりスタイルの8話構成で、予想以上に面白いのでつい観てしまう。ミシェル=ヨーが出ているけれど、チャールズとブルースのサン兄弟が楽しい。アクションと、ときどき表出する肉体損壊のグロテスクさがアクセントになっているのだけれど、このあたりには台湾映画の雰囲気があって、拷問の場面は心底恐ろしい。ややや。

世界は政治の季節に向かっている。フランスでは右翼勢力の台頭の流れがいよいよ強まり、振り子のように揺れながら制されてきた勢いが、今度ばかりは振り切れるのではないかと考えられている。グローバル化と平和の経済的帰結として格差を生み、敗者を敗者として留め置く新自由主義的な考え方が必然的に国家をディストピア化して、国民は極端な政策を渇望するようになる。民主主義国家と専制的な国家が経済を原理として別ルートから同じ山を登るということを、興味深く歴史は語ることになるだろう。