窓際のスパイ

Apple TV+で『窓際のスパイ』シーズン4の配信が始まったので、この第1話を観る。既にシーズン5の制作が決定しているだけあって、いろいろと安定の面白さで派手目の導入となった本作もつかみは十分といった感じ。原作の供給が間に合わなくなるというのが一番の懸念かも知れず、しかし例によってエスピオナージュとしては、むしろ原作の印象をこえる映像化になっていると思うのである。もちろんゲイリー=オールドマンの貢献は大きい。

この日の深夜、iPhone 16が発表される。WatchやAirPods 4まで含め、どれも順当な進化でスキがない王者の貫禄。

デイ・アフター・トゥモロー

Netflixに『デイ・アフター・トゥモロー』が来ていて、もう十回以上、観ているとは思うのだけれど、HDの画質がいいので結構、真剣に鑑賞してしまう。これがちょうど20年前の映画で、大西洋南北熱塩循環の異変がカタストロフをもたらすという予言的な題材と前半の内容だけで傑作というべきであろう。いかにもローランド=エメリッヒというべき後半には、ほぼ観るべき点はないとして。

そもそも現在は間氷期にあり、農耕以降の温暖化が地球の寒冷化のサイクルを例外的に遅らせているというのは一定の説得力がある話で、これがシステムの恒常性を破壊する閾値を超えることによって、ほとんど一瞬にして氷期への相転移が起きるというのは案外、真実味のある設定だと思うのである。だとすれば以降、人類が心配しなければならないのは際限のない寒冷化で、嵐が去って一件落着となった本編には語られていない悲劇的な結末がある。

Yagi

この日、台風11号はカテゴリー5のハリケーンに匹敵するスーパー台風となって海南島を直撃する。この様子を撮影した動画が多くアップロードされているのだけれど、時速では200キロメートルを優に超える風速に吹きつけられて窓は割れ、トラックは横転して甚大な被害をもたらす。この激甚状況に人間ができることはなさそうである。そして近海の海水温の上昇が、こうした台風被害を本邦にもたらすことになっても不思議はない。

新しいNHK土曜ドラマ『シュリンク』を観る。中村倫也が主人公の精神科医。そもそもこの枠のドラマは水準が高いので、続きも楽しみにしている。

名古屋

久しぶりに名古屋方面への出張。このところの天候は落ち着いているので鉄道は問題ないけれど、まだ秋の気配すらなく日差しは照りつける。千種、金山、名古屋あたりをいろいろと移動したのだけれど、都市としても東京とは時間軸方向でズレてきている雰囲気で、結果として地域性が際立っている様子があって面白い。多様性というものには、こうした発現の仕方もあるのだ。木曽路を遡り、中央道の工事でむしろ駅と自宅の間の移動に時間がかかる車社会。

メインテーマ

引き続き『虎の翼』を観ている。劇中は原爆裁判の1963年にあるが、あらゆる現代的な問題を扱うこのドラマは、もちろん人道に反する原爆の使用だけでなく、今なお核兵器禁止条約への参加を拒む唯一の被爆国を批判するだろう。この日はメインテーマ曲の『You are so amazing』が静かに流れる回。

茶道部

SNSのバズりからは距離を置く方針で、そもそもTwitterなき後、SNSというものにはほとんど関わっていないのだけれど、YouTubeで見かけてオランダのアザラシ幼稚園というストリームを今さら理解してしまう。あのプールに浮かぶアザラシを茶柱と見立てて、これを眺める者たちを茶道部員という風流には感心する。このぼんやりとした比喩的修辞が、まさに見立てとして日本文化のかつてのありようを想起させ、このブームも日本での局地的なものであるというのも面白い。

団地のふたり

『団地のふたり』を観る。相応に古びてはいるけれど、間取りの広い昭和の団地に住む元神童の大学非常勤講師を小泉今日子。その幼馴染で売れないイラストレーターが小林聡美で、明かりの少なくなった団地を舞台にした日常が題材となっている。

そのキャスティングと設定だけで楽しみにしていた9月スタートのドラマだけれど、導入はやや説明が過ぎるセリフが続き、どうなることかとかなりハラハラしたので、もう少し経過をみる必要がある。そこまでセットアップを急ぐ必要がある話だとも思えないのだが。とはいえ、昭和を生きた55歳の小娘の話であれば、間違いなく当方は想定視聴者の中心にいるという自覚がある。