『BLUE GIANT』を観る。石塚真一による漫画を原作としたアニメーションだけれど、この漫画の方は未読。予備知識なしで十分に理解できるつくりになっていて十分、楽しめる話とはいえ、東京を舞台とした本作の前には仙台での物語があり、海外編にも続く構造があるらしい。その射程を前提に、描かれていない物語を想起させる演出が奥行きを作り出していていい感じ。陳腐な話になりかねないストーリーを、うまく紡いでいると思うのである。登場人物が20歳前という設定が俄かに信じがたい画風だし、汗と涙の描写がやや古臭い気がするとしてもだ。だがしかし、重体の人間とされた人間が突然あらわれてピアノを弾くというのは、さすがにいかがなものか。