『罪の声』を観る。星野源と小栗旬の主演ということで話題になっていた本作だけれど、塩田武士の原作をもとに野木亜紀子が脚本を書いて土井裕泰が監督をしているというところが肝心で、142分とはいえ本来ならこの尺に押し込むことが難しいはずの原作をみっちりと凝縮した脚本も見事なら端的でキレのいい演出も気持ちがいい。原作でイメージした通りの映画を目のあたりにして、原作ものの名手と言われた野木亜紀子の仕事にも、土井監督の手腕にも感心したものである。
脚本家の独自の世界観がもっとも表出するのはラスト10分で、こればかりは書きようのないシーンを、映画だからできる表現で盛り込んできたのはさすがプロの仕事だと思うのである。星野源と小栗旬の演技プランはだいたいいつも通りだけれど、役者陣の厚みもあって大作を観たという充実感がある。