コーネリアス=ライアンの『史上最大の作戦』を読む。もちろん原著のタイトルは『The Longest Day』で映画の原作にもなっているけれど、これまで未読。ロンメルが司令部をおくラ・ロッシュ=ギュイヨンの村に始まる本作は、ノンフィクションというにはあまりにもドラマチックで、読みやすい。「私の敵はただ一つ、それは時間だ」というのがロンメルの口癖だったというくだりから、
上陸作戦の最初の二四時間がすべてを決するだろう。ドイツの運命はその結果如何によって決まる。連合軍にとっても、われわれにとっても、この日こそは最も長い一日となるだろう
と、砂浜で副官のラングに言う冒頭部分は、いや、ほんとかよと突っ込みたくなるぐらい劇的で面白い。確かに、ジョン=ウェインが出てきても不思議のない雰囲気なのである。そして妻の誕生日に、ロンメルが前線を離れていたその日がD-Dayとなった歴史の数奇よ。