アンメット

『アンメット』を観る。『エルピス』を生んだカンテレのドラマには独特の雰囲気があって、基本的にレベルの高いドラマが多いと思うけれど、本作もよくできた物語で、初回にして続けて観ようという気になっている。同名の漫画が原作で、設定の奇抜さはあるけれど、それがきちんとしたドラマをつくっている。記憶にかかわる杉咲花の演技は繊細で秀逸。そして若葉竜也の三瓶先生がまた素晴らしい。医療ドラマとしては迫真の手術の演出もあり、何かと面白いのである。

実を言って、原作も読んでみようと思っている。

舟を編む

『舟を編む』の第9話を観る。このテレビシリーズが本当に好きである。クライマックスにきて、物語はさまざまな断片を回収しつつグランドフィナーレへと向かう。最終回はパンデミックの状況を背景として、これまでの日常を大きく揺さぶろうというのである。SNS時代の言葉の扱いを通底する題材として、繊細に語られてきたこのドラマの大詰めとしては、既にしてよくやってくれたという気持ち。楽しみという他ない。

この日、新潟では32度を記録して4月の最高気温を更新する。桜の花が咲く季節としては異常というほかないこの状況から、今年の夏を考えるといったい、どういうことになるのだろうか。累積気温が生命の変化を促していくという法則からすると、加速された時間軸が多くのかけ違いを引き起こすことになる。

オクス駅お化け

『オクス駅お化け』を観る。キム=ボラが主演の韓国製ホラーだけれど、脚本を高橋洋が書き、脚本協力に白石晃士の名前も入っている。地下鉄の駅で起きる怪事を題材にしているのだけれど、因縁を明かしていくうち、貞子のそれとそっくりな井戸が登場するあたりに日韓合作の雰囲気が漂う。しかし、これをもって本源的な恐怖を扱っているというのは牽強付会が過ぎるというものである。表情がやや乏しいようにも見えるキム=ボラの雰囲気はホラー向きだし、まずまず怖さがあるけれど。

この日、イランはイスラエルへの報復攻撃を実行し、ミサイルとドローンからなるそのほとんどが阻止される。いったんは痛み分けという展開で事態は収束の方向だけれど、こうした緊張の高まりはいつしかエスカレーションを招くのではなかろうか。

カラオケ行こ!

『カラオケ行こ!』を観る。つい最近、劇場公開していたような記憶があるのだけれど、もうNetflixに来ている。和山やまによる原作の漫画は未読。脚本が野木亜紀子なので楽しみにしていたのである。監督が『コタキ兄弟と四苦八苦』の山下敦弘で、芳根京子も出演していたりする。「青春も延長できたらいいのに。」というポスターの惹句は、なかなかよく出来ていると思う、そんな話。

異文化の交流を題材にした映画はハリウッドに多いけれど、そのオーソドックスなフォーマットをきちんと踏襲した端正な作品になっている。それにしても橋本じゅんの歌う『行くぜっ!怪盗少女』というのは、まず珍品という他ない。

シュガー

Apple TV+で配信の始まった『シュガー』を観る。コリン=ファレルが主演の探偵もの。予告編からは、古風なフォーマットを使ったタフガイの話という印象しかなかったのだけれど、開巻いきなり富士山の遠景が映し出され、不思議な国ニッポンのエピソードから始まるので、何だこれはという感じで見入ってしまう。真面目にやっているのか、ふざけているのか、今週配信の2話まで確認した限りでは、まだよく分からずにいる。コリン=ファレルは終始、真剣みたいだけれど、いきなりスラップスティックコメディに転落する可能性は、まだあるのではなかろうか。

この日、日中の気温は20度を過ぎて、いよいよ春らしい陽気となる。松本では桜の開花宣言があったようだけれど、盛りとなるのは少し先のことになる。

プロットツイスト

『寄生獣 ザ・グレイ』を最終話となる第6話まで観る。ストーリー自体は原作とは異なるのだが、全体にオリジナルの『寄生獣』らしい雰囲気があり、コンパクトでいい感じのシリーズ構成となっている。よく出来ているのではなかろうか。面白い。寄生獣と宿主の絆は映像では描くのが難しいだけにやや後景化しているのだが、その代わりにオーソドックスな人間の描写に注力している感じで、その戦略は奏功している。ク=ギョファンが演じるチンピラ、ガンウのキャラクターがまた、練られていて、いい感じなのである。そして主演のチョン=ソニは注目すべき役者となるに違いない。シーズンフィナーレには原作ファンをよろこばせる仕掛けが用意されていて、これはもちろん観るべきであろう。

寄生獣 ザ・グレイ

『寄生獣 ザ・グレイ』を観る。もちろん、本邦の『寄生獣』を原作としているのだけれど、韓国のクリエイターによるその現代風翻案という塩梅で、映像的に寄生獣でありつつ、韓国映画的にグレードアップしたところもあって見応えがある。まずは6話シリーズらしいけれど、たぶんそれで収まるようなスケールではあるまい。いちはやく事態に対応している特殊対策班グレイチームの存在というアイディアは、映画的な展開に寄与していてなかなかいい。『謎の円盤UFO』を想起させる設定が好きなのである。