ウフルズ

Apple TV+で『ウルフズ』を観る。ジョージ=クルーニーとブラッド=ピットが共演している贅沢なクライムコメディで、日本での公開が急に中止になった経緯もあってApple TV+としては今年の注目作ということになる。一匹狼のフィクサーが、心ならずもコンビを組んで事態の収拾にあたることになる一夜の物語。原題がwolvesでなく『Wolfs』なのはローンウルフであることに由来するのであろう。カコイイ。

二人の掛け合いは特に珍しいものではないけれど、やはり波長が合っているという感じ。アクションや銃撃戦ではなく、やはりそこを楽しむ映画ということになる。ジョン=ワッツ監督の手になる脚本そのものは、どこか手際が悪い感じがして、らしくない気がするけれど、見せ場はきっちり作ってあって既に続編の製作も決まっているらしい。十分、楽しめる。

オトノケ

『ダンダダン』が気に入ったのでCreepy Nutsの『オトノケ』がヘビーローテーションに入っている。10月改編にともない、主題歌としてアニメとタイアップしたJPOPの新曲が大挙してリリースされていて、このあたりの共生関係はすっかり定着した感じがある。

日本は衆議院選挙に向けた候補者擁立の動きのなかにあって、政権与党の勢力争いの結果としてレイシストが比例区出馬を断念することにもなっている。これを駆動したのは倫理ではないというのが、この国の現在地である。

この日は急に冷え込み、朝方の気温が10度を下回る。夏の名残のあと、これで山も急に色づいて冬は足速に訪れるであろう。どうやら夏か冬かという気候になりつつあるというのは、まったくその通り。

フロリダのハリケーンはカテゴリー3まで勢力を落として上陸し、300万戸にのぼる大停電を引き起こす。想定されたよりもずっと小さな被害にとどまった様子ではあるけれど、これによって引き起こされた竜巻は27もあって、全体にどうなっているのかは、まだわからない時間軸にある。

ライブカメラではSouthernmost Point Barの映像がずっと流れていたのだけれど、ハリケーンが近づいてくる日中、荒い波の打ち寄せるこのモニュメントには結構な人だかりができていて、国民性の違いを感じたものである。その状態でも数百回に一回は高波が来るだろうから、誰が攫われてもおかしくないのだが。

ミルトン

フロリダにカテゴリー5のハリケーンが再び近づいているという。そもそも、陸地に近づいて急発達するハリケーンが増えているということなのである。降水量の増加で河川から大量の淡水が海に流れ込み、塩分が濃く密度が高い海水の層に、比較的に塩分が薄く密度が低い水の層を作ることで海水温は高くとどまり、熱帯低気圧は沿岸でも発達を続ける。巨大ハリケーンの上陸は気候変動の直接的な結果ということになる。

フロリダ湾の高潮も場合によって、この被害を拡大するだろう。選挙戦を巻き返そうとしているトランプは、政府の対応についても虚言を繰り返しており、あらかじめ予想されたことだが、こちらの地獄はすでに現出しているのである。

窓際のスパイ

『窓際のスパイ』のシーズン4も第5話となって、いよいよ佳境。過去の経緯が明らかとなって、カートライトは拉致され、嫌われ者のロビーは微妙な表現の動きで役者の仕事の奥行きを示してみせる。ドラマの格が違って見えるのは、ストーリーラインよりも演技の質によるところが大きいように思う。引き続き面白い。

2008-2024

我が家のチワワ4兄弟では末っ子の扱いで、2008年の11月に食を拒否する超小型の毛玉としてやってきて、長じて番長となり、長く共に生活した。順位と礼儀に厳しく、抱き上げた時に唇を噛まれた傷はずっと残っていたのだけれど、もうよくわからなくなってしまった。当初こちらの順位をだいぶ低く見積もっていたと思うけれど、近年は友達として遇してくれていたと思う。人間の子供達も巣立つなかで、全ての兄弟を見送り、本当はだいぶ寂しかったと思うけれど、そうしたところはあまり見せないあんずは勇敢な犬である。大病もしたけれど、その生命力に驚かされたのも、ひとたびではない。

16年生きた。明け方にかけて息はゆっくりと浅くなり、だいぶ草臥れてはいたけれど、安らかに眠ったと思う。このあと秋も深まり、厳しい冬が来て、季節を幾度も繰り返し、長くゆるやかな下りの船の行きつく先では、ふたたび会うことができるだろう。ありがとう、またいつか。

ダンダダン

アニメの放送が始まった『ダンダダン』の第1話を観て、これは最高だとなっている。手際の良い話の展開は原作の手柄によるところが大きいとしても、アニメーションでしかなし得ないこの表現の面白さは、クリエーターに賞賛を送るほかない。あらゆる表象の変化を経て、なお同じキャラクターと同定することができる認識の不思議と、隠された名前が物語の構造を解き明かす。生成AIが最後まで理解しないことのひとつは、このような世界の捉え方であろう。

Creepy Nutsの新曲にのせたオープニングからエンディングまで終始、感心していたのである。もちろん無茶苦茶、面白い。