損するのは嫌だから

『損するのは嫌だから』を観る。いかにもシン=ミナらしい王道のラブコメで、今やあまりにもありふれた設定となった偽装結婚もの。このジャンルはそろそろ体系的に総括されてもいいのではなかろうか。それはともかく、ジャンルドラマとしては安定の展開と演出で、するすると観られてしまう。高度に完成された様式美というものが存在する。

この日もイスラエルはレバノンへの空爆を続け、ヒズボラの最高指導者を爆殺したことが伝えられる。イスラエルにとっては当面の最大目標を達成したということになるのかもしれないが、結局のところイランとの争いということであれば出口などあってないようなものと見えるし、無数に撒かれた憎しみの種子はやがてさらに大きな衝突を引き起こすことになる。

虎に翼

『虎に翼』はいよいよ最終回。第1話から毎日欠かさず楽しみにしてきた朝ドラといえば『あまちゃん』『ひよっこ』についで3つめということになる。オープニングのダンスに当世の看護師がいるので、そうなるだろうと考えていた通り、現代に近い時間軸まで話を継いで、誰でもない普通の私たちの物語として全編は完結する。徹頭徹尾、言いたいことがはっきりしている極上のドラマだったと思うものである。

そして我々の社会からは既にだいぶ遊離しているようにしか思えない政界では、自民党の総裁選が決着し、大方の予想の外から石破氏が当選を果たす。どれもダメという消去法のなかで、得票が推薦人の数を下回る候補すらあったのは自己認識の不十分と人徳のなさを露呈しているというもので、何というかみっともない。新たな総裁がどうかといえば、あらゆる地政学的緊張が高まっているこの世界で、安全保障のメッセージがやけに目につくというのも、逆にバランスを欠いているということにはなるまいか。

中東危機

プーチンは核ドクトリンの見直しを表明し、ウクライナによるドローンや長距離ミサイルによる攻撃を強く牽制する。イスラエルとヒズボラの応酬はエスカレートし、イスラエルは地上戦の可能性に言及する。アメリカは中東での全面戦争の危険を認識しつつ自国の大統領選挙を迎える。

こうした状況を通常の資本市場があまり織り込もうとしなくなったのは近年の傾向だと思うのだけれど、情報の流通速度と市場の多様化はリスクのバランス化を機械取引による激烈な調整機能に預け、人間の正常バイアスを助長するように動いているような気がしてならない。生身の人間は慣性の法則に従って、崖上から転落することになるだろう。

おむすび

『虎に翼』もあと数回となって、昭和25年の尊属殺判決を最高裁が覆すヤマ場。憲法14条にこだわり続けてきた本作の締めくくりに相応しく、厳かに桂場長官が判決を読み上げる。半年の時間をかけて積み上げてきた物語なりのカタルシスというものがある。

それはそうと、下期は『おむすび』という現代劇らしいのだけれど、短い予告から窺える物語傾向のあまりの違いに驚いている。この落差をどのように感じるのか、いっそ興味深くもあるのだが。

エスカレーション

イスラエルはこの前日、レバノンの1300箇所に爆撃を行い、500人近い市民が死亡し、負傷者は1600人を数える。死者の数は増えるだろう。イランでの暗殺、ベイルートの空爆、関与を明言していないポケベルの連続爆破と国境を超えた攻撃はエスカレーションする一方で、ヨルダン側西岸のアルジャジーラ支局をイスラエル軍が占拠する様子も伝えられたばかり。実態としては、広汎での戦争状態にあって、この先を見通すことができない時間軸にある。こうした光景は、この半世紀にわたって繰り返されてきた制圧と抵抗の、何度目かの再演だとして、その大義は大きく揺らいでいる。

TV

この日は雨でもないのに気温が急速に低下して、秋が突然に到来する。明け方はやや肌寒いくらいで、日中もこのあたりでは最高気温が23度程度だったみたい。まだ、このくらいが平年値といえる時間軸にあると思うのだが、その傾向も2-3年ほど前から変わりつつある。

macOSをSequoiaにアップグレードしたけれど特に不具合は検出しておらず、今年もいいバージョンアップだったと思っているところ。初めてTVアプリを起動したら、このところ何年かの悲願だった字幕と音声の初期設定の仕様の更新があって、使い勝手がグッとよくなっている。今年の特徴は、大きな変更はないけれど細かい使い勝手の向上が図られているところで、これこそいいバージョンアップというものなのである。

そんなわけで、このところ『窓際のスパイ』シーズン4の第2話から第3話を観る。

Reeder.

RSSというのは良きインターネットを代表する技術のひとつだと思うのだけれど、最近は悪しきインターネットの台頭に押されて影が薄くなっているのは先刻承知の通り。当方にしたところでFeedlyを使ってはいるものの課金をしたことはなく、Google Readerはとうの昔に撤退して、技術そのものがマネタイズしにくいばかりでなく、ペイウォールの乱立が情報を寸断する世界にあって、公開と連帯の理念は知れず葬り去られていくのである。そう考えると、Googleが悪しきものとなったのも、あのあたりが分岐ではなかったか。

それはともかく、RSSリーダーはReeder 5を使っていたのだけれど、これがReeder Classic.となって新しいコンセプトのReeder.が登場する。月額150円の定額サービス化は世の流れとして、製品のコンセプトはだいぶ違うものとなって、あらゆるFeedをSNSクライアントのように扱えるようにしようという思想みたい。

いちばん異なっているのは未読表示がなくなったことで、情報はあくまでフローとして扱われ、何がいいかといえば未読を気にしなくてよくなるというのが案外いい。Classic.がメールクライアントだとすればReeder.はSNSクライアントで、この情報過多の時代にあっては確認すべき情報があるということ自体が、ある種のストレスであったことを改めて認識したものである。

というわけで年額1,500円を課金してこれに移行してみる。Feedは改めて登録する必要があるので、これを機に断捨離というのも目的のひとつ。改めて見直すと更新の止まっているサイトも結構あって、もう何もかも懐かしい。