『サハラ 死の砂漠を脱出せよ』を観る。サハラを舞台にしたお宝争奪戦、という触れ込みのCMからはちょっと推察できないことだがダーク=ピットもの。さらに言うなら、お宝争奪戦などというものでは全くない。全体としては昔の秘境冒険活劇を想起させるテイストであり、ちょっと懐かしい感じが漂っている。ベネロペ=クルス演じる医師はアウトブレイクを想定しているわり汚染防護に無関心であり、そもそも医師に見えない。真相が判明する段では、その職業的能力に相当な問題があるのではないかとも想像され、斯くの如く細部に拘りなく、一事が万事、ご都合主義で進行するので精密な作劇など期待できるはずもなく、元はといえば原作も同様の問題を抱えているのである。そうは言っても冒頭に登場する南軍の装甲艦テキサスは実に芳醇なイマジネーションの産物といえ、何やら『ナショナル・トレジャー』的な予感もあっただけに杜撰な展開が悔やまれる。