『ブルー・レクイエム』を観る。主人公は秘めた目的をもって街にあらわれ、どうやら因縁に決着をつけようとしているらしいという前半、やがて平仮名じゃないほうの日活を想起する気配があって、いやいやそもそもはフレンチノワールを翻案したのが舛田利雄だったじゃないかと思い直す。どこに出しても恥ずかしくない正系というのがこの映画であり、緊張感のある結末までテンションは落ちない。立派なものである。
難を言えば興ざめなのは巻末のクレジットタイトルで、いかにもフランス的とは思いながら、この種のストーリーでカーテンコールというのも如何なものか。