『カサノバ』を観る。ラッセ=ハルストレムはお気に入りの監督で一方、ヒース=レジャーはどちらかというと苦手な役者なのだが(『ブロークバック・マウンテン』はキツかった)重いところのない物語で気楽に観ることが出来る。ジェレミー=アイアンズの異端審問官は絶品。まるで異端審問官となるべく生まれたような形相でありながら、ユーモラスな感じもあってね。歴史上のカサノヴァが主人公である意味は自伝『我が生涯の物語』を整合させるための無理矢理なトリックを経た語られぬ後日譚にあり、『カサノバ』というタイトルから連想される官能性は非常に抑えられたものなので、パブリシティ的には難しい映画だという気がする。配給はブエナビスタなので、要らん心配ではあるものの。全体的には佳作といってよいのではないだろうか。