ゾディアック

『ゾディアック』を観る。分厚いが、手の抜いたところのない立派な映画である。映像特典に出てくる原作のロバート=グレイスミスは実際にはかなり理性的な人間とみえるのだが、役者が十分に働いて偏執的なキャラクタが創造された結果、事件に取り憑かれた人間を描くという着想がうまく結実しており、見応えがある。最近では『ブラック・ダリア』が同じ趣向だが、こちらのほうが格段に上。カリフォルニア、ことにサンフランシスコの往時が書き込まれてるのもいいし、157分の長尺が決して長くないのである。どうでもいいことだが、ロバート・ダウニー=ジュニアがまたしても依存症の役で出演しており、こちらは例によって全くしゃれにならない。