『ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた』を観る。なんとなくB級顔のネイサン=フィリオンが産婦人科医師の役で出ており、南部のダイナーを舞台にした映画なので、全体に漂う雰囲気はどうしたって不景気になるのだが、分厚くて美味しそうなパイがいろいろと出てきて乾燥しがちな画面に情感を与えている。主人公は不幸な結婚をしたウェイトレスだが、パイ作りに傑出した才能を持っており、嫉妬深く自己中心的な夫のバカの壁を乗り越えようというはしないというあたりの運びが独自の作風を醸し出していて、脚本・監督で出演もしているエイドリアン=シェリーの早世が惜しまれる。日本語のウィキペディアにはそのあたりの経緯も書いてあるが、本国での報道とは異なったものであり、油断がならない。